多文化主義の考え方が導入 〔民族・文化・社会学〕

多文化主義とは、異なる文化を持つ集団が存在する社会において、それぞれの集団が「対等な立場で」扱われるべきだという考え方または政策である。

フランス革命をきっかけとして成立した国民国家という国家のあり方は、民族自決という考え方を前提としていた。

すなわちある民族の自決権を実現する為に、その民族がある一定の領域を占有し、その領域内において自民族の個々のメンバーの自由や平等を保障するという手法である。

しかし、こうした手法では、その国家において主流派となるエスニック・グループ以外はマイノリティとして種々の抑圧・差別を経験することになる。

何故ならば、民族という概念そのものがその構成メンバーの主観によることが多い故に、民族の一体性を確保するためにはどうしても国民国家内部における言語や文化を統合していかざるを得ないし、そうした場合、主流派以外のエスニック・グループはそれぞれの言語や伝統文化を放棄してアイデンティティを喪失するか、あるいはそれらを保持するかわりに国民国家内部における不利益を甘受するかという選択を迫られるからである。

そこで、こうした単一文化主義を前提とする国民国家を乗り越えるための方策の一つとして考案されたのが、多文化主義である。

多文化主義は1970年代にカナダ、オーストラリアで政策に取り入れられ始め、その後、イギリスやスウェーデン、フランス、アメリカなどでも程度の差はあるものの、多文化主義の考え方が導入されるようになった。
update:2010年06月04日